国内外から年間150万人もの観光客が訪れ、信州を代表する景勝地の一つでもある上高地。清らかな梓川に架かる河童橋から望む山々の雄姿、幻想的な大正池や手付かずの原生林、そして高原リゾートのグルメを楽しみに初夏の上高地を訪れてみた。(写真:梓川(あずさがわ)クランク)
2017.04.21 掲載
大正4年(1915年)の焼岳(やけだけ)の大噴火により生まれた、上高地の大正池。雄大な穂高連峰の姿を映す鏡面のような水面や立ち枯れた木々が、幻想的な風景を作り出す。
田代橋へ向かう途中にある長いウッドデッキからは清流を泳ぐイワナをはじめ、マガモやオシドリといった野鳥の姿も見ることができる。
大正池へと流れる清らかな上高地の湧水は、雨が降っても濁らないとのこと。緩やかな川の流れと心地いい涼やかな風、色鮮やかな新緑に心身ともに癒やされる。
上高地の原生林の中に、ぽっかりと姿を現す田代湿原。湿原の中にある浅い池には、水田のようにいくつもの島が現れ、訪れる野鳥のさえずりが響き渡る。
平成10年(1998年)に竣工した田代橋は、長野県産のカラマツとヒノキだけを使用した木橋。景観にも配慮したこの橋の上からは梓川だけでなく、春から秋にかけての景色も楽しめる。
クランク状に大きく蛇行し、水しぶきを上げながら雄々しく流れる上高地の梓川。川沿いに作られた遊歩道は「梓川クランク」と呼ばれ、訪れる人々に親しまれている。
大きく開けた梓川クランクは、原生林の奥にそびえる穂高連峰と常念(じょうねん)山脈を望む絶好のビュースポット。
梓川から河童橋方面へと進む途中にある中ノ瀬園地。歩道沿いには東屋やベンチが配され、休憩スポットに最適。
芥川龍之介の代表作「河童」の舞台としても知られる上高地のシンボル・河童橋。高くそびえる山々や透き通った梓川、新緑のみずみずしい木々の組み合わせが素晴らしい。
五千尺ホテル内にあるメインダイニングのテラスは、目の前の河童橋をゆったりと眺めることができる穴場スポット。
五千尺ホテルは上高地のシンボル・河童橋のたもとに佇む、大正7年(1918年)創業の老舗ホテル。散策途中の休憩とお昼をいただくスポットとして人気が高い。
山岳リゾートとしての面影を残すランタンやコッヘルなどのインテリアが飾られた、2階のメインダイニング。窓からは河童橋や梓川が眺められる。
ランチでは創業以来変わらぬレシピのドミグラスソースで煮込まれた名物のビーフシチューと、五千尺農園の朝摘み野菜で作るサラダが味わえる。
じっくりと時間をかけて丁寧に煮込まれた肉は、口の中でホロホロと崩れるほど柔らか。濃厚なソースとも相性がよい。
信州産ふじりんごをふんだんに使い、パティシエがサクッと焼き上げたアップルパイは、フレッシュな甘酸っぱさが口いっぱいに広がる。
昼食の後は、上高地のさらに上流の明神池を目指して河童橋から梓川左岸を上流へ。豊かな自然を感じながら歩けば、約1時間半の道のりはあっという間。
上高地の手付かずの自然が楽しめる原生林を守るために架かる木道。雨天時には滑りやすくなるため、マウンテンブーツなどがおすすめ。
立ち枯れた木々が点在し、幻想的な風情の岳沢湿原(だけさわしつげん)。湿原の向こうには「六百山(ろっぴゃくさん)」がそびえる。
木道沿いで時折目にする、激しい水しぶきを上げる渓流や苔むした大木。幻想的な景色を間近で見ることができる。
多種多様な樹木が生い茂る原生林を抜けた先に現れる、上高地の明神橋。青空と大自然のパノラマからなる風景が、原生林を抜けた後の気分転換にもなる。
明神橋から数分の距離にある穂高神社内の神域・明神池。明神岳から常に伏流水が湧き出ているため、水面は透き通り大空を静かに映し出す。
明神池のほとりにある「カフェ·ド·コイショ」でひと休み。食堂「どっこいしょ」を改装したため、店名も拝借したとのこと。
カフェ内では腕利きのパティシエによる、日替わりのケーキが味わえる。ほろ苦い大人な味のキャラメルチーズケーキは、上高地を歩き疲れた体に程よい甘さ。
明神橋を左岸から右岸へと渡り、梓川に沿って下る別ルートで河童橋へ戻る。往路とは違った景色が楽しめるので、帰りも新鮮な気分。
愛らしい姿を見せる野生猿の親子。決してエサは与えないのが上高地でのマナー。
※紹介している内容は2016年6月時点のものです。
美しさに一層磨きがかかる初夏の上高地。大正池から始まり、河童橋、明神池など神秘的な名所を訪れる合間に、グルメスポットでひと休み。山と緑と川が織り成す爽やかな山岳景勝地で過ごす日帰り旅をじっくり楽しみたい。