旅のご予約|香川県
2019.6.19
小豆島観光で訪れたい絶景スポットやご当地グルメ
大小20以上の島々に囲まれた瀬戸内海で、2番目に大きい香川県の小豆島。その歴史は神話時代の歴史書に登場するくらい古く、後の時代では瀬戸内交易の要所として栄えてきた。地中海に似た温暖で風通しのよい風土を活かしたオリーブ栽培や醤油製造など、豊かな自然と人の営みによって育まれてきた島の景観や伝統食を求めて訪れてみたい。
< 目次 >
高松市からフェリーでの1時間の船旅
四国フェリーの就航船「しょうどしま丸」の展望デッキ
小豆島へのアクセスは姫路や岡山、そして香川の中心市街地・高松市からのフェリーによる船旅となる。なかでも高松市から小豆島の玄関口・土庄(とのしょう)へ渡る航路は1日15便あり、瀬戸内海に浮かぶ島々の間を進むフェリーからの風景は、変化に富んでいて見飽きることがない。
重岩で紺碧の空と海、多島美を独り占め
山道途中にある重岩不動石鎚神社のご神体でもある重岩
海と島に囲まれた非日常的な景観が魅力の小豆島。絶景スポットの重岩(かさねいわ)は、瀬戸内海と空が眼前に広がる土庄町の山頂にある。その由来が定かでない奇岩はどのようなバランスで重なり合っているのかも不明だが、近年はパワースポットとしても注目されている。
重岩へ向かう山道途中に続く400段以上の石段は、ふと見下ろした際の風景もまた美しい。山頂の50m手前くらいは砂岩まじりの山肌を縄に沿ってよじ登らなければならないが、たどり着いた達成感と周囲の絶景は格別。
こまめ食堂で里山の原風景を眺めながらランチ
2010年に開催された瀬戸内芸術祭にあわせて開店したカフェ・こまめ食堂。里山の原風景が残る山間にあった昭和初期の精米所を、最低限の改装にとどめて営業。店内では建物の納屋から出てきた、昔懐かしい雑貨が随所に展示されている。
天気の良い日は店の裏手にある、700枚もの棚田が目の前に広がるテラス席で小豆島の食材を用いた“いつもの島の味”をいただきたい。「棚田のおにぎり定食」は、目の前の棚田で作られたお米をはじめ小豆島で採れた山海の食材がふんだんに盛り付けられた人気メニュー。
春から夏にかけてテラス席の先には、青々とした棚田(中山千枚田)と里山、そして瀬戸内国際芸術祭で作られた棚田脇の巨大なオブジェといった面白い風景が展開する。この中山千枚田は農林水産省の「日本の棚田百選」にも選ばれている。
樹齢千年のオリーヴ大樹の力強い枝ぶりに驚嘆
2016年から一般公開されている樹齢千年のオリーヴ大樹
スペインのアンダルシア地方から海路で小豆島に運ばれ、2011年3月15日に植樹式が執り行なわれた樹齢千年のオリーヴ大樹。小豆島のシンボルとして、瀬戸内海を見おろす小豆島ヘルシーランド株式会社の敷地内にある高台に根を下ろしている。
全く異なる場所への古木の植え替えは上手くいかないことも多いが、この大樹には新たなオリーブの枝葉が次々と芽生えており、老木であることを全く感じさせない。瀬戸内海からの風に吹かれて木の下に佇んでいるだけで、元気を分けてもらっている気分になる。
オリーブ牛を極上のローストビーフ丼でいただく
島メシ屋のローストビーフ丼とスパークリングオリーブ
小豆島=オリーブの島であることを食を通じて実感するのが、このローストビーフ丼。カフェ「島メシ屋」では、オリーブオイル搾油後の果実を飼料として育ったオリーブ牛(讃岐牛)をローストビーフで味わえる。
和牛と発泡酒をとおして味わう小豆島のオリーブグルメ
オリーブ牛はオレイン酸を豊富に含むオリーブを飼料に用いることで、うまみ成分や肉の柔らかさなどが平均的な和牛を上回る(香川県調べ)。このローストビーフ丼とともに味わいたいのが、小豆島産オリーブの枝葉の微粉末を使用した発泡酒・スパークリングオリーブ。ほのかな苦味とオリーブのさわやかな香りの組み合わせが新しい。
小豆島国際ホテルの客室露天風呂から眺める絶景
小豆島国際ホテルの露天風呂付きエグゼクティブルーム
黄昏時の風景も美しい小豆島。小豆島国際ホテルに5室しか無い「露天風呂付きエグゼクティブルーム」では、瀬戸内海に沈む夕日を一望できる絶景露天風呂がある。浸かるお湯は、低刺激で柔らかな肌あたりのオリーブ湯。
この絶景露天風呂からのもう一つの楽しみは、一日に二回だけ現れる幻の道・エンジェルロードを眼下に見下ろしながら浸かれること。夕日に照らし出されると、海を二分する“天使の道”はピンク色に浮かび上がる。
ヤマヒサ醤油で昔ながらの杉桶仕込み醤油作りを見学
国の有形文化財に登録されているヤマヒサ醤油のもろみ蔵
オリーブとともに小豆島の名産品として有名な醤油。もともと島の産業だった塩作りと、九州から入ってきていた大豆や小麦、そして島の気候が組み合わさって発展してきた。ヤマヒサ醤油は昔ながらの天然醸造を守り続けながら、オーガニックな醤油の先駆けとして知られる創業80年の蔵元。
工場見学では有形文化財の蔵内で、醤油の撹拌作業も体験できる(要事前予約)。巨大な木桶に満たされ、熟成されていくもろみは発酵すると体積が増えて盛り上がり、一つの木桶を撹拌するのに30分ほどかかる力作業。
国産の丸大豆や小麦を主原料に、また昔ながらの製法で作られた純正醤油を塩水の代わりに使用して杉桶で二度仕込まれた発酵熟成の醤油・豆しょう。鼻に抜ける香ばしい香りと、舌先に感じる辛味だけでない旨味が印象的。
MINORI GELATOで小豆島の食材をスイーツで味わう
ご当地フレーバーのジェラートが揃うMINORI GELATO店内
2016年開催の瀬戸内国際芸術祭に合わせて、草壁港の近くにオープンしたジェラート専門店・MINORI GELATO。店内に工房を構えており、本場イタリア仕込みの製法で毎朝できたてのジェラートを提供。小豆島ならではの食材をアレンジした、見た目も楽しい味が揃う。
ヤマヒサ醤油がトッピングのバニラと小豆島産酒粕のジェラード
注文したのはバニラと小豆島産酒粕のジェラード。おすすめの食べ方は、上で紹介したヤマヒサ醤油の醤油を少しずつ垂らしながら。口の中で三味一体となり、大人向けの複雑な甘辛味が生まれる。
築70年の米蔵をリノベーションした建物のテラス席で、目の前の港から吹いてくる潮風を感じながら味わうジェラードは格別。店舗は島内にあるフェリー乗り場の一つ・草壁港前にあるので、乗船までの待ち時間に立ち寄る観光客も多い。
マルキン醤油記念館で醤油づくりの歴史を知る
小豆島の大手食品メーカー・マルキン醤油は、小豆島で1868年から醤油を作り続けている老舗の1つ。広大な敷地に工場棟が建ち並び、醤油づくりの資料館や商品が買える物産館などもある。工場の瓦や外壁の焼き板が黒ずむのは、醤油作りの酵母菌が働いている証。工場一体が黒く染まることが、繁栄の証とされてきた。
マルキン醤油記念館内に展示されている仕込み用の巨大な木桶
マルキン醤油記念館内には、かつて醤油づくりに使用されていた道具をはじめ醤油瓶やラベルの変遷、昔の醤油蔵を再現したミニチュア模型など、マルキン醤油と小豆島での醤油づくりの関わりを知ることができる。
マルキン醤油記念館の目の前にある物産館では醤油をはじめ、醤油を使ったスイーツなども販売されている。醤油のほのかな香りが特徴的な醤油ロールカステラは「天然酒造 初しぼり生しょうゆ」を用いた、ここだけの限定商品。
ひしお丼で楽しむ小豆島の豊かな食材
小豆島のご当地グルメ・ひしお丼。「地元食材の使用」「オリーブか佃煮が箸休め」「「醤の郷」で作った醤油やもろみを用いる」などの決まり事を満たした上で、島内のさまざな飲食店が独自のアレンジで小豆島の食の魅力を丼で伝えている。
創作料理店・野の花のひしお丼は、小豆島の色鮮やかな旬の野菜や魚介類をこだわりの器に美しく盛り付け。古代米の上に旬の野菜や魚の香味焼、温泉卵や地元の豆腐をトッピングしている。
オリーブ入りの茶わん蒸しや寒ボラのポン酢和え、季節の果物のゼリーなど、丼とともに出される小鉢でも小豆島の食材を楽しめる。自然光が射し込む和モダンな雰囲気の店内奥にある窓側の席からは、彼方に瀬戸内海を望む。