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2020.4.6

はとバス昭和物語 第3回 “戦後最大のスポーツイベント”に奮戦(昭和39年)

はとバス昭和物語 第3回 “戦後最大のスポーツイベント”に奮戦(昭和39年)
高度経済成長期に突入した昭和30年代、空前の観光ブームによりはとバスの勢いにも拍車がかかった。東京タワーをはじめとする新名所の登場に乗客数も急増。定期輸送だけで年間100万人を突破、バスの保有台数は100台を達成した。(写真:昭和39(1964)年10月10日、開催国日本の代表選手団が最後に入場すると国立競技場の熱気は最高潮に)

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 観光バスの代名詞として「はとバス」の名は人々の記憶にすっかり定着し、昭和38(1963)年9月1日、「はとバス興業株式会社」から現在の「株式会社はとバス」へ満を持して社名変更されたのだった。

 その一年後、昭和39(1964)年10月10日、"平和の祭典"東京オリンピックが開幕。2週間にわたり国民の耳目を集めるとともに、日本の復興を世界にアピールした。NHKや民放放送局はこぞってテレビ中継を行い、開会式の視聴率は脅威の84.7%。6,500万人が同時に観るほどの国民的イベントとなった(NHK放送技術研究所「日本放送技術発達小史」より)。

 この戦後最大のイベントに、はとバスは全面協力。選手・役員の送迎から外国人旅行客の輸送を担うとともに、大会期間中およびその前後に、外国人向け・日本人向けのオリンピック関連の定期観光コースを新設。

 特にオリンピック後は、「熱戦の舞台となった競技場に立ってみたい」という観光客が全国から訪れ、大ヒットコースとなった。

悲願の東京誘致が実現、初のアジア開催に沸く日本

大ヒットとなったオリンピック施設巡りコースで国立競技場へ(昭和39<1964>年)

 全58票中34票を獲得し、ライバル都市に圧勝! 昭和34(1959)年5月26日、ドイツ・ミュンヘンで開催された国際オリンピック委員会(IOC)総会にて、第18回オリンピック競技大会の東京開催が決定した。

 さかのぼること20年、東京は昭和15(1940)年の第12回大会の開催地に決定していたが、支那事変の影響もあり開催を返上していた。その後、第2次世界大戦で壊滅的な打撃を受け、焦土からの奇跡的な国力回復と激動の時代が続いた日本。

 戦後初の、ロンドンオリンピック(1948年)への参加は認められなかったが、昭和26(1951)年にはIOCへ復帰。フィンランド・ヘルシンキ大会(1952年)には選手団を送り出す。そして、オリンピック東京招致への機運が高まるなか、熱心な招致活動を展開。「アジアになんとしても聖火を」、招致に関わったすべての人たちの熱い思いが結実した瞬間だ。

来たるオリンピックに備えよ! 対策準備委員会を設置

レジャーブームで賑わう東京営業所の風景(昭和36<1961>年)

 東京オリンピック開催が決まった昭和34(1959)年、日本は前年まで続いた不況を乗り越え、のちに岩戸景気と呼ばれる好況期に突入。産業全般が活況を呈し、大会組織委員会が発足するなどオリンピックの準備も本格化した。交通・観光業界も、上昇を続ける訪日外国人観光需要が、大会を機に大幅増加をすることに期待をかけ、設備投資に余念がなかった。

 はとバスにおいても昭和35(1960)年2月12日、都議会局長、交通局長等の要職を歴任後、第4代社長に就任した渡辺伊之輔氏のもと本格的な準備活動に着手が始まる。オリンピック時に東京を訪れる内外の観光客の輸送及び観光の需要増を見据え、8月1日にオリンピック総合対策準備委員会、旅客誘致宣伝委員会、事故対策委員会を設置。

 なお国内においては、昭和35(1960)年から38(1963)年にかけ空前の観光ブームに沸き、国民総レジャー時代と呼ばれるほどの活況に。はとバスでは、この国内動向への対応と来るオリンピックへの準備と、いわば両面作戦を展開。ますます社会的に責務を増す都内観光事業の充実発展に邁進する。

専用バスガイドによる「はとバス宣伝隊」全国を疾走!

「はとバス宣伝隊」の専用車両とガイド

 本格的なレジャーの時代を迎え、国鉄と私鉄を合計した国内鉄道旅客輸送人員は、昭和35(1960)年度から40(1965)年度にかけて、前年比5~6%増を記録。これは以降見たことがないほどの伸びとなった。

 はとバス「都内半日Aコース」が国鉄周遊コースの指定を受け、上野、東京駅降車口はじめ都内各所の発着所を活用できるようになるとともに、周遊券利用者は10%引きで東京遊覧を楽しむことができた。

 このような交通、観光事業各社との連繋が始まるなか、はとバスでは一層の都内定期観光バス利用客の獲得をめざし、画期的なプロモーション活動「はとバス宣伝隊」を組織した。はとバスと日本交通公社、東京タワー、浅草新世界の共同観光キャラバンで、東北の主要都市および穀倉地帯を宣伝車で走破しながら、観光都市東京の魅力を紹介していくものだ。

 この東北キャラバンの成功を受け、はとバス宣伝隊と宣伝カーは、北は北海道、南は九州まで活動の場を広げ、活発な宣伝活動を展開していく。

試乗から特別ツアーの特典付き「はとバス友の会」が発足

はとバス発行「東京遊覧ニュース」に掲載された、はとバス友の会発足パーティーの記事

 専用の宣伝カーを仕立て全国へとキャラバンに出向く、はとバス宣伝隊。通常のガイド嬢とは異なる専門の宣伝ガイド育成にも乗り出し、昭和36(1961)年7月から活動を開始。ガイドによる踊り、歌などを交えた東京紹介、各種アトラクション、映画上映、抽選会など充実した内容を誇った。

 ラジオやテレビ、新聞など既存の広告媒体には見られない新鮮さが大いに受け、全国で東京観光旅行の際には、定期観光バスという便利でリーズナブルな手段があることを深く印象づけた。

 この活動に呼応し、昭和39(1964)年2月には「はとバス友の会」が発足。はとバス旅行愛好者を組織した友の会は、はとバスが行う各種試乗会や会員向けバス旅行などに優先参加ができ、会員相互の親睦をはかる、はとバス愛好会ともいうべき存在だった。

 会費1,100円(現在の4,400円に相当)で行われた第1回友の会会員のバスハイクは大変な盛況となった。当初100名でスタートした「はとバス」の会は、20年後の昭和59(1984)年には2,000名を越えるまでに成長した。

高速道路から新幹線まで、新たなる首都・東京の交通網

昭和39(1964)年頃の有楽町駅付近、開業したばかりの東海道新幹線

 開催決定からオリンピック本番まで5年余り。国立競技場を中心とする第1会場が代々木・神宮外苑地区、第2会場が駒沢地区に決まると、オリンピック施設の建設と東京の都市インフラの整備が急ピッチで進められた。

 その象徴ともいえるのが、両会場をつなぐ青山通り(渋谷-赤坂見附間)と玉川通り(渋谷-二子橋間)の拡幅工事で、その他にも環状7号線や目白通りなどが整備された。

 また、都心の渋滞解消の切り札として首都高速道路の建設にも着手。開催までにオリンピック関連のエリアを中心に約30kmが完成した。羽田空港と国鉄浜松町駅をつなぐ東京モノレールも、開催まで1ヶ月もない9月に開通。そして、日本の鉄道技術の結晶ともいえる夢の超特急、東海道新幹線の東京-新大阪間も完成。オリンピックそのものへの興味とともに、生まれ変わった東京への関心も否が応でも高まることとなった。

冷房付き豪華車両登場 4ヶ国語のコース案内開始

前方の視界を確保したスーパーデラックスバス。愛称は“金魚鉢”(昭和38<1963>年)

 昭和34(1959)年からオリンピック開催の昭和39(1964)年にかけ、はとバスのバス事業も躍進期に入り、定期路線キロ数も急伸。それにともない、定期車両数も増加した。

 この間、車両確保に大きく貢献する車両信託制度が導入される。これは信託会社が購入代金をサポートするもので、昭和32(1957)年6月に車両全体を信託とする契約が住友信託銀行と小田急電鉄との間に結ばれ、その後はとバスにも適用されたことで躍進への準備も整った。

 より多くの乗客に対応できるようバスの大型化が進む中で、はとバスでは昭和37(1962)年5月に冷房付き豪華車、通称デラックス長距離用貸切バスを導入。さらに昭和38(1963)年4月には、定期観光バスにスーパーデラックス・バス40人乗りを2タイプ・各2両導入。

 いずれも、運転台を低くして客席から前方の眺望がよくなるよう工夫し観光に特化した車両で、英仏独スペインの4ヶ国語のコース案内を録音したテープレコーダーを搭載。内外の観光客から人気を集めた。

 オリンピックを視野に入れ、車両というハードの拡充にとどまらず、ソフト面からも顧客満足度を高める方向性がしっかり打ち出されている点に、はとバス独自の先見性が発揮されている。

チャンスを逃すな! 外国人コースへの整備と強化に着手

「外人向け湘南・箱根回遊コース」で、湘南ドライブウェイ(国道134号線)を走るはとバス(昭和39<1964>年)

 オリンピックをきっかけとする訪日外国人の増加を見越し、はとバスでは外国人コースの整備・強化にも着手。昭和36(1961)年3月には、観光部に外人課を新設した。同年には「外人ナイトコース」「外人向け産業観光コース」「ヒストリカル東京コース」などを追加。

 昭和39(1964)年には、オリンピック対応コースとして、9月に「外人向け日光日帰りコース」「同1泊コース」「横浜・鎌倉・江の島回遊コース」を投入。10月には、「外人向け湘南・箱根回遊コース」、さらに東京-京都間を5日間で旅する「外人向け東海道アドベンチャーコース」を加えた。

 ちなみに「横浜・鎌倉・江の島回遊コース」では、東京-シルクセンター(シルクセンター国際貿易観光会館)-三渓園-横浜プリンスホテル(現在はマンション)-八幡宮(鶴岡八幡宮)-大仏(高徳院)-江ノ島をめぐるコースで、所要9時間、料金は3,600円(現在の14,400円に相当)だった。さらに外国人向け定期観光コースとして、日本の食や文化・伝統を体験できるものを4コース投入している。

14日間で運行台数244台! フル回転で挑んだ外国人専用輸送バス

オリンピック期間中に大活躍した、はとバス

 昭和39(1964)年10月10日。秋晴れの空のもと、戦後日本の最大のイベント、東京オリンピックが開幕。2週間にわたる熱戦の火蓋が切られた。この年の訪日外国人旅行者数は約35万人、うち開催期間中に約5万人(選手を含む大会関係者約9,000人、一般観光客約41,000人)が日本を訪れた(国土交通省「平成25年度 観光の状況、平成26年度 観光施策」第186回国会提出資料より)。

 開催期間中の外国人観客の輸送は、東京陸運局の統轄のもとに進められ、はとバスを含め都内バス会社計9社がこれに当たった。

 コースは東京駅中央口から新宿御苑までの約8.7km。運賃は片道100円(現在の400円に相当)だった。はとバスでは、初日の10月10日に36台、最終日の24日に39台、その間は毎日13台を外国人輸送循環バスとして配車。期間中に計9,303人の世界の人々を輸送した。

ニーズに応えよ! オリンピック期間限定コースを設定

オリンピックをきっかけに、外国人向け定期観光コースもより充実

 2週間のオリンピック開催中、循環バスの運行に協力するとともに、はとバスでは10月中、訪日外国人旅行者向けに2つの定期観光コースを設定した。

 昼の観光コースは、東京駅丸の内北口-ホテルニュージャパン-東京タワー-浅草を巡り、料金は800円。1日4便を運行した。また夜の観光コースは、東京駅丸の内北口-帝国ホテル-ホテルニュージャパン-大森スエヒロ-吉原松葉屋(現在は閉店)を巡り、料金は2,800円だった。

 一方、日本人向けには、同年7月から「オリンピック記念コース」を運行。国立競技場-馬事公苑-駒沢公園-神宮外苑と各競技場を7時間ほどで巡り、料金は大人700円だった。なお、オリンピック期間中は運休されたが、代わりに競技観戦をプラスした「オリンピックコース」を大人1,000円で運行した。

日本中が熱狂した舞台、競技場を巡る大ヒットコース

「オリンピック施設巡りコース」で日本武道館を訪れる

 オリンピックの興奮覚めやらぬ10月25日、「オリンピック記念コース」が再開された。内容を一部変更し、所要時間を7時間から4時間30分に短縮して運行。柔道会場となった日本武道館、水泳会場となった代々木競技場などが下車箇所に設定されたこともあり、あの熱戦の舞台を訪れてみたいという人々が日本中から押し寄せ、爆発的な人気を博した。

 このヒットを受け、はとバスでは翌年の昭和40(1965)年3月、コース内容を再編成して、さらに内容の充実を図ったコースを販売。ホテルニューオータニでの食事を加えた「オリンピック施設巡り1日コース」、所要3時間30分と手軽な「オリンピック施設巡り半日コース」は、合わせて1日30台以上のバスを運行するほどの人気に。この数字からも東京オリンピックが日本国民に与えたインパクトの大きさが伺えるエピソードといえるだろう。


<「はとバス昭和物語」第4回(昭和40年代~)につづく>
文:今田 壮
編集協力:株式会社P.M.A.トライアングル
【ご注意】
※本文中に記載の固有名詞、ツアー名称や言い回し表現は当時のものを使っています。現代では自粛すべき表現や一般的ではない言い回しなども含まれております。あらかじめご了承ください。
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