特別企画 中江有里さんインタビュー ~本を読むことは、旅そのもの~

旅読人コラム2017.05.16

中江有里

女優で作家の中江有里さん。小石川後楽園・涵徳亭(かんとくてい)の日本間にて

特別企画 中江有里さんインタビュー ~本を読むことは、旅そのもの~

女優として、そして作家として活躍する中江有里さん。彼女が体験を通じて感じる、旅と読書の素敵な関係とは。日本の文豪たちが生活を送り、多くの作品を生み出した場所、文京区小石川で、旅と読書についてのお話を聞きました。
(取材・撮影場所:小石川後楽園)

小石川後楽園

小石川後楽園・涵徳亭にて

■本日の撮影場所は文京区の小石川後楽園です。ここ小石川、そして東京大学のある本郷など、文京区は古くから文人とのゆかりの強い町ですが、この地域と関係する作家さんでお好きな方、及び作品はありますか?

中江さん:
東京大学が舞台となった夏目漱石さんの『三四郎』、そして短い生涯の約半生を文京区で過ごした樋口一葉さんの『にごりえ』ですね。樋口一葉さんは彼女の生き方に惹かれ自身について書かれた本もよく読みました。中でも、佐伯順子さんの『一葉語録』は、作品に書かれた言葉についてわかりやすく解説されており、一葉入門編としてお薦めです。

■『三四郎』について惹かれるところは?

中江さん:主人公の三四郎が、熊本から大学に入るために上京してくるのですが、私も大阪出身で、高校一年の時に東京に来た経緯があります。『三四郎』を読むと、上京してきた頃を思い出し、彼の思いに自身を重ね合わせてしまうところがあって愛読するようになりました。

中江有里

■ちなみに文京区のなかでよく訪れる場所はありますか?

中江さん:
千駄木にある森鴎外記念館によく行きます。記念館が建つ場所は、鴎外の旧居「観潮楼(かんちょうろう)」の跡地で、観潮楼正門の門柱跡や敷石、三人冗語の石などがあり、それらを眺めながらぼんやり過ごすのが好きですね。

■文京区や近隣についてはどのようなイメージをお持ちですか?

中江さん:
やはり文豪達の街という印象です。そして、観潮楼で行われた鴎外主催の歌会には、石川啄木、斎藤茂吉、北原白秋、樋口一葉、伊藤左千夫など、蒼々たる文豪達が吸い寄せられるように集まっていました。また、鴎外が借りていた千駄木の家には、後に漱石が住んでいたそうですね。このように文京区は、一人の作家のもとに様々な文化人たちが導かれてきた街。面白い現象ですよね。彼らを魅了する何かがこの界隈にあるのかもしれません。その時代にタイムスリップして、どんな様子だったのか覗いてみたくなりますね。

小石川後楽園・シダレザクラ

小石川後楽園のシダレザクラ。樹齢60年以上といわれる

■なるほど。ではここから本題となりますが、中江さんは旅先でよく読書をされますか?

中江さん:
ええ。日常でも旅先でも本はよく読みます。特に旅行に行く時は、上下巻などボリュームがある本を持っていきますね。足りなくなるのが嫌なので。

■旅行中は主に、どんな場所、どんな時に本を読まれるのですか?

中江さん:
旅に出ると日常の喧騒を離れ、のんびりできるひとときが訪れます。そんな時に本の世界に浸るのが好きですね。もちろん列車、バス、そして空港でトランジットしているときなど、旅先での移動中にも読書しますよ。

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中江有里

プロフィール中江有里女優、作家

1973年12月26日、大阪府生まれ。法政大学卒業。
1989年に芸能界デビューし、数多くのTVドラマ、映画に出演する。
2002年「納豆ウドン」で第23回「BKラジオドラマ脚本賞」で最高賞を受賞。脚本家としてデビュー。
NHK BS2「週刊ブックレビュー」で長年司会を務め、『結婚写真』(小学館文庫)、『ティンホイッスル』(角川書店)、『ホンのひととき 終わらない読書』(毎日新聞社)を執筆。
恋愛小説アンソロジー『恋愛仮免中』(文春文庫)に、最新作『シャンプー』掲載。
現在、NHK「ひるまえほっと」(関東地域のみ)"中江有里のブックレビュー"、フジテレビ系「とくダネ!」にコメンテーターとして出演中。また「東京新聞」「産経新聞」「Domani」にエッセイを連載する。

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